座長推薦優秀演題 [機能的脳神経外科]
headache master school 2013 [頭痛外来]
SCSの普及活動 [機能的脳神経外科]
機能的脳神経外科とは? [機能的脳神経外科]
機能的脳神経外科という分野があります。これは何らかの病気により起こってくる症状、例えば、脳卒中•中枢神経の変性疾患や脊髄損傷後の四肢の疼痛や痙縮(痙性麻痺)、パーキンソン病による歩行障害•振戦•固縮など、原疾患の治療は困難であるが症状軽減を目的にし、脳•脊髄•末梢神経に対して外科的処置を加え症状を回復、改善させようという診療分野です。現在、痙縮とそれに伴う痛みに対してITB療法(髄腔内バクロフェン投与療法)、慢性疼痛患者に対してはSCS(脊髄刺激療法)、眼瞼けいれんや痙性斜痙に対してはボトックス療法(ボツリヌス毒素)、また歩行障害•認知症•尿失禁を3主徴とする特発性正常圧水頭症に対してはLPシャント(腰椎−腹腔シャント術)などを行っています。また、当院では深部脳刺激療法(DBS;deep brain stimulation)を行うための装置があります。DBSとは定位脳手術と呼ばれる治療法の一つです。定位脳手術は1947年からの長い歴史がある治療ですが、このDBSはその方法論に基づいて行うものであり振戦に対して2000年4月に保険適応となった比較的新しい治療法です。方法は頭蓋骨に固定したフレームと脳深部の治療目標点の位置関係を三次元的に解析し、その目標点に正確にアプローチする手術方法です。この方法を用いて脳深部の目標点(視床、視床下核、淡蒼球など)に電気で刺激する電極と前胸部に刺激装置を埋め込み、接続し、電気刺激を行います。電気刺激は体外からプログラマーという装置を用いて刺激部位•頻度•電圧•幅が調節できます。薬のみでは十分な改善が得られないパーキンソン病、本態性振戦、ジストニアなどの不随意運動が治療の対象になります。現在のパーキンソン病の治療は薬物療法が基本です。しかし薬物療法を行ってもコントロールが困難な振戦がある場合や薬の副作用で精神症状、消化器症状が強くでる場合や薬を投与しても日内変動やジスキネジアがコントロールできない場合が手術適応となります。術後は薬剤量を減らすことができ、オフ時間の短縮、日内変動の改善、振戦、無動、固縮、歩行障害の改善が得られます。しかしながら、病気そのものを治癒させるものではなく、あくまでも症状の改善を目的に行う手術ですので、薬物療法との併用、刺激条件の調節を継続的に行う必要があります。従って、実際どの時点で手術を受けるのが良いのかは患者ごとに異なりますので、主治医の先生と相談して決める必要があります。こういった、患者の日常生活を改善させる機能回復を目的にした治療分野があることを患者だけでなく、医療従事者にも知っていただき、治療の選択肢の一つとして認識されることを願っています。
第5回近畿ITBカンファランス [痙性麻痺]
第1回愛媛頭痛勉強会 [頭痛外来]
第50回日本定位•機能神経外科学会 [機能的脳神経外科]
第11回愛媛県作業療法学会 [痙性麻痺]
1月30日の第11回愛媛県作業療法学会で、痙性麻痺に対するITB療法とリハビリテーションについて当院の作業療法士が演題発表します。痙性麻痺については重症な方だけではなく、軽症な患者にもITB療法が有効であり、痙縮コントロールの状況に合わせた段階的なリハビリテーションが必要です。また、特発性正常圧水頭症に対して2月12日の日本特発性正常圧水頭症研会で演題発表する予定です。正常圧水頭症については診断にもちいる検査方法の検討について発表します。2月9日には愛媛頭痛研究会があり、間中病院の間中先生の特別講演が予定されています。
カフェイン離脱頭痛と鉄欠乏性貧血による頭痛 [頭痛外来]
ブログ更新します。
今年の日本頭痛学会に『頭痛に対するカフェイン制限と鉄補充の有用性』 について発表しました。カフェイン制限での効果はカフェイン摂取が200mg/日以上の人であれば60%の患者が頭痛が消失もしくは軽減します。片頭痛と診断されていてもカフェイン離脱頭痛が合併している可能性が高いという解釈です。また、貧血(貯蔵鉄のみの減少)が合併していれば、頭痛の治療無しに鉄補充のみで頭痛が同様に改善します。 一般にトリプタンが使える現在、頭痛診療が頭痛頓挫療法に傾いているようですが、あらためて日常生活指導、予防薬投与の重要性に多くの方が気づいてくれればと思います。
また、機能外科的な内容ですが、今年は慢性疼痛に対する脊髄刺激(SCS)療法を愛媛県に普及させるべく、活動を開始しました。それと平行して状況を整えていた、パーキンソン病、不随意運動などに対する脳深部刺激療法(DBS)がそろそろできるようになります。治療を受けるために県外施設にいかざるを得なかった状況を変えていくように努力しています。
あと、睡眠時無呼吸に対する検査である、ポリソムノグラフィー検査ができるようになりました。