combined neuromodulation [機能的脳神経外科]
Neuromodulationが様々な病態に対して有効性が高いことは周知の事実である.ならば,Neuromodulationを用いて治療した患者皆が良好な転機を得ていることになるが,そうでもない.これが日本で急速に普及しない一因だと考えられる.
これは,
①デバイス機能の問題(適切な条件を設定できない)
②選択したNeuromodulationが疾患に不適切
③選択したNeuromodulationだけでは十分な効果が得れない.
だと考えられる.
①についてはデバイスメーカーへのfeedbackとそれをもとにデバイスを改良することでのデバイス進化を待つ必要がある.
②はNeuromodulationを行う医師の症状をみる目と広い診療知識(エビデンス)と治療経験に基づく治療法の選択のセンスが必要.
③は選択したNeuromodulation一手技だけでなく,それ以外の方法も合わせて治療を行うことにより改善する症状を見抜き,Combined neuromodulationを行う勇気と治療追加に対する患者の協力が必要.
ではないかと思う.複雑な症状を呈する疾患ほど,この③が重要になる.
例えば,
下肢の固縮,痙縮の強いパーキンソン病患者[→]DBS+ITB
すくみ足,下肢痛を合併したパーキンソン病患者[→]DBS+SCS
脊髄損傷による下肢痛[→]ITB+SCS
CRPS患者で症状進行とともに痙縮による攣縮痛を疑う[→]SCS+ITB
慢性片頭痛で前額部痛を合併[→]ONS+SONS
症状に合わせてCombined neuromodulationを行うことで症状改善効果が期待できる可能性がある.
③で良くなると思われる状態であっても、それを見抜ける(見極められる)医師との出会い・機会が、患者にとってあるかどうか。
そのような医師が増えていくこと、そして患者自身も偏りなく学習していくこと(氾濫する情報に溺れない)が、必要だと思う。
by K.M (2016-04-12 23:00)
コメントありがとうございます.動物は複雑な生き物で,それは脳が複雑な回路で動いているからだと思います.表面上の症状だけに対処する治療ではまず病気を制御することはできないと思います.脳のネットワークのどこが今変調をきたしているかを考えて,それに対処できる治療を選ぶ必要があります.
by t-kaz (2016-04-15 13:58)